好好通信
あつしが行く 第1章第8部①

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本ページではその中より「あつしが行く」を抜粋し、ご紹介致します。
第1章「新人留学生」
■第8部「風邪をひく①」
遼寧大学に留学して早や3カ月が過ぎようとしていた晩秋の11月下旬、僕は風邪を引いた。
風邪を引いた原因はハッキリしている。それは11月初旬からの乾燥と寒さだ。
瀋陽市は中国東北地区に属しているが、他の地域(黒竜江省や吉林省)よりも幾らか南に位置しており、留学の前評判では「寒い事は寒いけど、耐えられる」と耳にしていたのでそこまでの注意はしていなかったのだが、実際は故郷の兵庫県では経験した事のない「異常」な寒さが待っていた。
では何が「異常」か? 一つ目は「乾燥」であろう。日本では、冬場も霜や霧など何らかの形で水分が空気中を漂っているが、瀋陽ではその気配が全く感じられない。
洗濯物は良く乾くが外出しただけで肌はカサカサ、喉もガラガラである。
次に「北風」である。上述の乾燥した空気が、シベリアの寒気を取り組んで、内モンゴル、吉林省の山間部から一気に瀋陽市に流れ込むものだから、絶え間なく「刺す」様な冷たい風が吹いているのだ。薄着で外出しようものなら、数分で肌の間隔がマヒしてしまうし、酷い場合は霜焼けになる。
この様な環境と自己管理意識の薄さが相まってばっちり風邪を引いた僕は、周囲にうつす訳にもゆかないので学校を休み、治す事にした。
治す方法として、異国の地で風邪をひいてしまったからと言って特別な事はせず、普段通り消化に良い物を食べて、薬を飲んで寝る事が一番だと考えた僕は、消化に良い料理を探し、一路学生食堂へ行った。
そこは中国お粥のメッカ、食堂内にはお粥が大量に販売されているので、迷うことなく一番安い「緑豆粥(エンドウ豆と玄米のお粥)」一杯0.5元(約7.5円)を購入。 少し冷めていたが、喉の痛みを紛らわすため一気に飲み干した。
が、ここからが問題だった。
迂闊にも僕は風邪薬を持っていなかったのだ。自分の部屋を探したが見当たらないので、以前大学の先生に紹介してもらった遼寧大学西門横の「東北大薬房」という薬局へ行き、風邪薬を購入することにした。
徒歩10分ほどで店に着いたのだが、中国で薬局に行った事が無い僕は、とりあえず店内で一番前に陣取っていた白衣のおばさんに「風邪薬が欲しいです」と簡単に説明した。するとおばさんは物凄い早口で「何処が悪い?」と僕の症状を確認してくれた。
「実は頭が悪いのです」と冗談の一つも言いたいところだが、風邪とは全然関係ない薬を渡されても困るので、素直に今の体調を説明した。するとおばさんは大きく頷きながら「それにはこれが良い」とおもむろに小箱を僕に手渡した。箱には「風邪薬」と記載されているので間違いなく「風邪薬」だと確認は出来たのだが、問題はその値段である。
なんと1箱4元(約60円)なのだ。高い薬は嫌だが逆に安すぎる為、一抹の不安に陥った。
しかし「郷に入れば郷に従え」、「皆これを飲んでるのだ」と自分に言い聞かせ、2箱購入。
寮に帰り、早速飲んでみる事にした。
つづく・・。
次回「風邪をひく②」です。








