好好通信
あつしが行く 第1章第7部

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本ページではその中より「あつしが行く」を抜粋し、ご紹介致します。
第1章「新人留学生」
■第7部「季節外れな黄色い嵐」
遼寧大学にきてもうすぐ1カ月。9月末ともなると瀋陽市は冬支度が始まる。
と言ってもまだまだ日差しが明るく、乾燥した涼しい北風が吹き始める事以外は訪れたばかりの8月末と変わらない。
そんなある日の朝、開ききらない目を擦りながらベットから出ると外は一面の暗闇だった。
時計を見るとしっかり朝の7時、余りの暗さに寮の向かいにあるグラウンドも見えないので、僕はてっきり「時計の時間が狂ったのかな??」と思いルームメイトの時計を見たがやはり7時だ、間違いない。
「これはおかしい」と思い、とりあえず金さんを揺り起こして、朝食を取ろうと学生寮1階フロアにおりた所で、宿直のおじさんにものすごい剣幕でこう言われた。
「今日は外に出ては駄目だ!外が見えないのか?」
大きな声で注意された我々は改めて外を見た、普段なら燦々と太陽が輝いているべき場所にその姿は霞んで見えず、一面黒と黄色、黄土色の世界だった。
初めて見る光景に僕は思わずおじさんに「これは何??」と聞くと、おじさんは「黄砂だよ」と答えた。
「黄砂」と言えば春先に観測される気象現象だが、なぜこの季節なのか?
不思議に思い学校で先生に聞くと何でも「シベリア方面からの北風が、内モンゴル周辺で砂埃を巻き上げ、ここまで流れてきた」らしいのだ。
更に先生は続けて「それに加え瀋陽市北西部にある工業地帯のスモッグが流れてきている」と言ったので、一気に咳き込んでしまった。
この「濃い黄砂」は正午を過ぎても大学周辺を取り巻き続け、午後2時半頃の突然の夕立によって見事に水に流れ一掃された。 案の定雨がやむと街路樹や芝生にはドッテリとキメの細かい土が乗っかっていた。
出るに出られず一日のすべてを留学生院で過ごし、「不思議な天候だったね」と金さんと話しながら自分の部屋に戻ると、空けっぱなしにしていた窓から雨と泥が部屋に入り込んで僕の洗濯物を黄色一色に染め上げていた。
つづく
次回第8部「風邪をひく」です。








